時計塔の鬼
「…………」
叔母さん、葉ちゃんは天使の笑顔を持った小悪魔のようです。
心の中で、叔母さん、つまりは葉平の母親に語りかけた。
「で、どうしたの?」
「へ?」
「へ? じゃなくてさー」
苦笑を浮かべる従兄弟を見て、私は何がなんだかさっぱりわからない。
こういう状況というものは、何気にモヤモヤ感が消えてくれなくて、居心地が悪い。
「何なの?」
口調にも自分だけがわからないことへの苛立ちからトゲが含まれてしまう。
けれど、葉平はそんなことはお構いなしだった。
「おお、怖っ」
「葉ちゃん、大人をちゃかさないで」
「ヒ・ミ・ツ」
「……葉ちゃん?」
静かに笑いながら声のトーンを思い切り低くすると、葉平は渋々といった体だが、やっと口を割った。