時計塔の鬼
9章 鐘は激しく鳴り響き

"It has nothing to do with you."

―Side Yue―…

今、一体何時だろうか……。



やっと職員会議が終わり、足早に自分のデスクへと向かいながら、そう考えた。

もうすぐ、太陽が沈む。

いくら夏に近付きつつあるとはいえ、この後資料整理等をしていたら確実に七時を回るだろう。



今日も、また……。



そこまで考えて、とても深い溜め息が出てしまった。

それは憂鬱とか後悔とかそんな類いを含んだモノ。

私は義務も責任もある大人だけど、ポーカーフェイスが完璧にできるようなそんな大人じゃない。

なりきれない大人。

とても中途半端。

私の内にあるのはシュウのことが八割以上で。

他は残りの二割に全て詰め込まれてる。

そんな、アンバランスな人間。



このところ、葉平やその友達に昼休み連続訪問を受けている。

生徒たちと触れ合うことはすごく充実してて、ワクワクする。

教育実習生の時に感じた辛さや大変さも忘れていない。

でも、それと同時に感じた興奮も忘れることはできない。

私は私として教師になったんだという思いは根付くまでに強い。

後悔なんてしない。



それでも――。


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