時計塔の鬼


とにかく疲れが溜まってしまう。

時間もない。

シュウとの時間も、すごく少ない。

不満ばかりが、大きくなっていく自分を自覚してしまい、嫌悪しそうになる。

そんな自分には、なりたくないのに。

汚い感情なんて、持ちたくないのに。



寂しい……。

とても、寂しい。

さびしくてさみしくてどうにかなっちゃいそうなほど。

私が望んでるのは一つだけなのに……。

それがこんなにも辛いなんて、知らなかった。



また溜め息を吐いて、デスク周りの整理を始めた。

プリントの間にシャーペンが挟まっていた。

引っ張り抜くと、プリントが何枚か床に散った。



充実と多忙。

感情と義務。



それらに縛られてる私は一体何なんだろう。

私は…………あれ?

ふいに、あることに気づいた。

デスクの上、横までもガサガサと探す。

消しカスが床に落ちた。



「……ない」



また、だ。

筆記用具をまとめていたら、いくつかなくなってることに気付いた。

めったになかったことがよくあることになった。


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