時計塔の鬼
「ねぇ」
変わりばんこにお風呂に入り、後に入っていた私が濡れた髪を乾かし終えた頃。
ベッドの横に敷いた布団の上で、クッションを抱きしめて座っている歩美が口を開いた。
「なぁに?」と言いつつも、私はギクリと身が固まっていた。
来たな、という思いが強い。
だから……驚いてしまった。
「恋バナしない?」
歩美の、この提案に。
「え、恋バナ?」
「うん、そう。楽しいこと話そうよ。それに、夕枝とのお泊りなんて久しぶりじゃないっ!」
怖いことの上には、楽しいことを。
歩美の言葉が、言外に示していた。
その提案は歩美の優しさ。
甘えさせてもらっても、いいんだろうか。
明日には、ちゃんと笑って話せるようになるために。
「ん、しよっかっ!」
「うんっ!」