時計塔の鬼


「んー……む」




“無理”



そう答えようとして、ハッとした。




あることに、気付いてしまったから。



思い当たってしまったんだ。





意識が、妙に冴えてしまう。





シュウには。

あの、鬼には……






「倒れても看病してくれる人がいないんだ……」



考えて行き着いた答えが、口から零れ落ちた。




「え? 夕枝ちゃん、何か言った?」


「ううん、何も」



怪訝な表情を浮かべるお母さんを、視界から外して、そっと目を閉じた。





シュウ……。



そんなの

きっと、すごくさみしいよ。


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