時計塔の鬼


そもそもの所、鬼は風邪や病気にかかるのか?

等という疑問はこの際置いておく。




高熱が出ると、思うように体を動かすなんてことができないのは当然で。



体の全てを支配する熱は、思考なんてものはもちろん、些細な考え事さえもできなくさせる。



体を休ませるはずの睡眠さえも、穏やかなものでは決してなくて。


おとぎ話に登場するような伝説の龍が、体中を荒らして暴れ回る熱を感じるんだ。



その睡眠の中では、私たちは勇者なんかじゃなくて、ただの弱い無力な村人。


魔法なんて高尚なものは使えるはずもなく、剣も盾までも持っていない。


全部、病原体とかウイルスとかいう役人に没収されてしまう。



そんな、高熱でも。



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