恋に恋する五秒前
「初出場の仲間がいたから話し掛けただけだよ…!!」
[バシッ!]また叩かれた。
「なんでお前が話し掛ける必要があんだよ!!」
「名前が知りたかったんだもん!!」涙が出てきた。
「俺に聞いたらよかっただろ?」
「そしたら暴力もなしに教えてくれた?」皮肉っぽく言ってみた。
[バシッ!]3度目。痛みに絶えられなくなってきた。
「お前が…お前があいと話さなければ暴力なんかしてねーよ!!」
「酷い…酷いよ…」私は下に座り込んだ。
涙が止まらなかった。
「…ごめん。ごめん、ハナ。俺、こんなにするつもりなくて…」ヒロヤスも座り込んで、私に抱き着いた。
「いいよ。もういいよヒロヤス…」ヒロヤスは私を離し、私は走ってトイレに逃げた。
顔が赤く腫れ上がっていて、手首が青くあざになっている自分がトイレの鏡に写った。
下を向き、部屋に入った。
どうやら、カナメはいないみたい。
手当てがしたくて、部屋のトイレに入って消毒をしようとした…だけど自分の顔を見たら涙が出て来た。