キミノタメノアイノウタ
手渡されたペットボトルのキャップを捻りながら尋ねる。
「あのさあ…もしかして俺のこと知らない?」
さっきから少しおかしいと思っていた。名前を聞いたり、普通に話しかけてくるし。
田舎ならではのフレンドリーさではもう説明がつかない。
……瑠菜は俺達の正体を知っているのだろうか。
「さっき自分で自己紹介してたじゃん」
本名はともかく、“もうひとつ”の名前も知らないのだろうか…?
名前が売れたと思い込んで天狗にでもなっていたのか。
それとも……。
「じゃあ、質問を変える。兄貴の職業を知っているか?」
そう言うと瑠菜は訝しげに眉を寄せた。
「職業?」
……なんだか嫌な予感がした。
瑠菜の口から発せられた言葉は半ば俺の予想通りだった。
「フリーターでしょ?」
(あとで侑隆を尋問する必要があるな)
詰問することを心に決めると、俺は瑠菜の持ってきた枝豆に噛り付いた。
人工甘味料たっぷりの炭酸飲料と仄かに土の味のする枝豆は合わないなと、しみじみと思うのだった。