子猫のような君を見て
歩いている途中,彼に名前を聞いてみることにした。
「あの…名前教えてくれるかな?」
パッと顔を上げ,こちらに向けられた顔は,どこか生き生きとしていて。
どこか彼に陰を感じてしまった。
まるでこの後起こる悲劇を
予知したかのように
「僕は,2年4組の梨元由宇です!」
梨元由宇…。
知らない名前だ。
どこかで関わりのある子かなとも思っていたが,やはり知らない子だった。
「梨元君ね。私は…」
といいかけた時,突然彼の口が開いた。私の言葉を遮り出てきた言葉。
「神崎柚さん…ですよね?」
何で?何で私の名前を知っているの?
何の面識もない後輩が…。
顔を見たことも
ましてや喋ったこともない後輩がー…。
「そう。私は柚。何で名前知ってるの?」
焦る気持ちを必死に隠し,いかにも落ち着き払っているように訪ねる。
「何でですかね?」
ニヤリと左端に上がる唇。
笑っているように見えるが。
私の心臓はヤバいぐらい
脈打っている