魔女の瞳Ⅵ
私は動きを止めた。

嗚咽を続ける修内太も顔を上げた。

「たす…かる…?」

そんな筈はない。

一度人外化した人間が、再び人間の姿に戻る事は不可能だ。

完全に闇に染まった肉体というのは、二度と浄化は出来ない筈。

修内太の肉体は、完全に魔物となってしまっているのだ。

…私のそんな言葉を聞いて、蘭花は蹲る修内太に歩み寄る。

「彼の左目を見てください」

蘭花が修内太の左目を指差す。

「…!」

私はハッとした。

呪眼じゃない。

私が修内太に移植した筈の呪眼。

その呪眼が、今の修内太の左目にはなかった。

代わりに今の彼に埋め込まれているのは、魔力を結晶化した、ただの加工した宝石だった。

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