魔女の瞳Ⅵ
サリィ・デッドゲイト。

長老言う所の『先代デッドゲイト当主』。

私が魔女狩りの時代に生きていた頃は、もう既に隠居していた私の母親だ。

元々は私の呪眼もこのお母様のもので、呪眼に蓄積されている魔術の三割は、お母様が編み出したものだといわれている。

若かりし頃は長老を連れて相当派手にやっていたらしく、デッドゲイト家が魔道の世界で恐れられるようになった、その伝説の主と言っても過言ではない。

今の若い世代の人外や魔術師はあまり知らないだろうけど、一昔前は『デッドゲイトの魔女』『稀代の魔女』と言えばお母様の事を指す言葉だったのだ。

齢1000歳近い高齢ながら、今も私の姉にしか見えないその容姿は、私同様『再生』の魔術の効果によるもの。

成程、お母様なら私の『施錠』の魔術を簡単に開錠し、結界を音もなく破ってこの洋館に侵入していたとしても、何の不思議もなかった。


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