魔女の瞳Ⅵ
第一章
その朝は、珍しく長老は早朝から起きていた。

いつも夜更かしで、私が学校に行く時間帯には大抵眠っている筈の長老。

それがパッチリと目を開けて、私が身支度を整えているのを見ている。

それを不思議に思いつつも、私は手早く着替えを済ませ、鞄を手にした。

「それじゃあ行ってくるわ長老。留守番よろしくね」

いつものように声をかけて部屋を出て行く。

その時に。

「メグ」

彼は私を呼びとめた。

「今日は早く帰ってきて欲しいんじゃが…構わんか?」

「え?」

我が四門邸に門限はない。

というか、むしろ夜こそが魔女の活動する時間帯だ。

こんな時間厳守のような事を長老が言うのは初めてだった。



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