魔女の瞳Ⅵ
「とはいえ」

お母様は立ち止まる。

「私だって別に殺生が好きな訳じゃない…桜花さんだってデッドゲイトの血縁だしね…できる事なら傷つけたくはない…そこで」

彼女の左手に、光球が浮かび上がった。

血のような赤い色をした光…。

お母様はそれを、無造作に投げ放つ。

「っ!」

桜花は咄嗟に高速詠唱した!

「      !」

行使したのは『氷弾』の魔術。

拳大の氷の弾丸を撃ち出す基本的な水属性魔術だった。

その『氷弾』が、お母様の放った赤い光球とぶつかり合った瞬間。

「!!」

『氷弾』は消えた。

相殺された訳ではない。

同等の威力によって砕け散った訳ではない。

文字通り『消えた』のだ。

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