魔女の瞳Ⅵ
本当はもっと追及したかったのだけど、これ以上問い詰めても長老は口を割らないだろうし、学校にも遅刻してしまう。

釈然としないまま、私は家を出た。

『施錠』の魔術で戸締まりし、門を潜ったところで振り返る。

…今日も洋館の結界は完璧だ。

どんな侵入者だろうと、そうそうたやすく内部に入る事は出来ないだろう。

…長老が夜な夜な『念話』の魔術で誰かと会話しているのは知っていた。

もし…万が一…考えたくはないけれど、万が一長老が私を裏切り、何者かをこの四門邸に手引きしているとしても、侵入は一筋縄ではいかない。

洋館内に長老がいるとしても、彼の力で内部から結界を破る事はできない。

長命とはいえ所詮は使い魔。

魔女の結界を破るほどの力は持ち合わせていないのだ。

…魔女は冷静で冷酷、そして計算高く狡猾だ。

たとえ長い間苦楽を共にした使い魔だろうと、疑惑があれば切り捨てる。

最近は修内太やクラスメイトとの学園生活で多少丸くはなったものの、本質はやはり変わらない。

私はデッドゲイトの魔女なのだ。

「…『四門メグ』でいさせてよね、長老」

私は小さく呟き、学校へと向かった。

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