heaven
「ありがとう」

シャーリィは最後に
もう一度その一言を唇からこぼした。
リフの身体は弾を受けない。
シャーリィに当たった弾丸は
確実にその小さな身体を貫いていた。

出血が止まらない。
どんどん冷たくなっていく。
リフはそのリアルすぎる死への体温に涙を流した。

こうなることは知っていたのに。


知っていたのに
なんで泣いてるんだろう。
リフは自分でも不思議だった。
客観視していたキラも
不思議で溜まらなかった。
もともとこの目的のハズだったのに。
この子の魂を送る仕事だったのに

やがてシャーリィは
硬く冷たくなって動かなくなった。
けれど、瞼は静かに伏せられ 
口元は優しく微笑んでいる。

決して悪くはなかった。

「……」

キラは無言のまま立ちつくす。
その器だった身体から
『霊魂』が浮き出すのを待つために。

リフはシャーリィの亡骸を抱きしめ、
そっと額に口付けた。

魂が浮かび上がる。


その瞬間

「シャーリィ」

キラが呼びかけるのに反して
その霊体であるシャーリィの姿は
フッと消えてしまった。

「シャーリィ!」

キラは血の気が引くのを感じた。

『肉体』から『霊魂』に変わって
一日以内に送らないと
『魔』に魂を食われてしまう。
食われた物は報われず、ただ消えてしまう。

そんなことになったら
    マズイ

リフはシャーリィの亡骸を抱えて
山里の方へ歩いていった。

小さな墓を作るためである。

キラは急ぎ、シャーリィの『魂』の在処を捜した。


紅   

  こんなにも美しい

 紅
 


  こんなにも 醜い

ねえ、どうすれば救える?

どうすれば 争いが絶える?


何が出来る?この手は何のちからが


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