heaven
それを
幻と割り切れたなら
苦しみも 悲しみも 悔みも 消すことができたのだろうか。
答えは未だ

見つからない

「……ラ、 キラ」

遠くから声が聞こえる
それは、……誰の声?

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「キラ先輩」


金の髪の彼が後ろから付いてくる。
守護天使としての活動を始めて間もない彼は
キラを慕っていた。

大天使であった 「キラ」 を

「どうした?リフ」
「西の巡回は終えました。
ところで、俺は天界の巡回のみで構わないんですか?」
「ああ、構わないよ。もう少し研修を積んでからのほうがいいから。
 下界に降りるのはそれからでも遅くない。
自分のペースで進めるといい」

笑いかけると、リフも笑い返す。

「そうですね。……ええと…
俺、次は何をすればいいかな」

気の利かない奴ですみません、と苦笑いをして
リフは頭をかいた。
キラはその様子に少し笑って答える。

「大丈夫。このあたりの巡回はもう済んだよね?
 そろそろ、お茶にしようか。君も疲れただろ?」

良い喫茶店があるんだよ。と
近場の小さな店に足を踏み入れる。
素朴な紅茶の香りと
迎え入れる優しげなおばあさんの声
窓際の小さな花。

「ダージリンと…リフ、なんにする?」
「じゃあ、俺コーヒーで…」

店主のおばあさんが優しくうなずいて
コーヒーの豆を挽く。
紅茶の茶葉がすれる音が聞こえる。
穏やかな午後のひと時だった。

「ところで、リフ、知っているか?」
「何を、ですか?」

カタン、と音をたててコーヒーカップとティーカップがテーブルに置かれた。
品のいい香りが部屋を包み込む。
何気ない会話の一端と思った矢先


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