ノクタ-ン ♪ プリ-ズ・Love
その時、結城の目の前に、 突然青い海が現れた。
セイレ-ネスの復讐が始まったのである。
その怪物たちの魅しい歌声は、あたりにけたたましく響いている。
『駄目よ〃あの歌を耳に入れたら…もう終わり。
だから、この蜜蝋を塗り込めて塞ぐのよ。
そして小絵の弾くピアノを思い出してちょうだい』
結城の耳に…
目にも止まらないスピードで、やって来た鳩がそう言って飛び去っていた。
もちろん、岸辺にいて手ぐすねを引いて待っている、
怪物たちには、見えないようだった。
-♪私たちのいる~
この浜辺には魔法がかかり、
何者がやって来たとしても…もう帰れない~
もしも、この浜辺の草原に座ったとしたら~
辺りはまもなく腐って行くでしょう。
そこには、一面人間の骨が、うず高くつもることでしょう~-
けたたましい声で、そう言って唄っているではないか… 恐ろしい歌だ。
しかし、結城の耳には入って来ない。蜜蝋のおかげだ。
そして、あの鳩が教えてくれたように、小絵の弾くピアノを思い浮かべていたら、
結城の記憶の港に、小絵の白いしなやかな指が、
ピアノの鍵盤をたたき出していた。