中学最後の夏休み《短》
駆け寄って中腰になりナツと視線の位置を合わせると、ナツは上目使いに俺を見てくる。
そして小さな声でごめんね、と呟いたあと俺を見つめたまま黙り込んだ。
「……何かあったのか?」
様子を窺いながらそう言葉にした。
ナツをよく見てみると泣いていたのか目が少し潤んでいた。
髪もいつもの綺麗な巻き髪じゃなくて少し乱れてる。
もしかして……
「違う。拓が想像してるようなことはされてない」
俺の顔色からなにかを感じ取ったのかナツははっきりとそれを否定した。
よかったけど……
「じゃあこんな時間にこんな所で何してるんだ?」
俺はそう聞きながらナツの横に少し間を開けて座った。