中学最後の夏休み《短》

静かな公園で俺は盛大なため息をつく。

これじゃあどっちが年上かわかんねえよ。

俺はそう内心で呆れながら、またベンチに座った。

「ナツ、いま彼氏の家で襲われそうになったのにまだわかってねえの?」

「えっ?」

ナツの顔を見る。

うん。これは本当にわかってねえな。

「俺だって男だよ? それとも俺が中学生だからって安心してんの?」

気まずそうに下を向くナツ。

俺はそんなナツをじっと見つめる。

切れかけの電灯がチカチカしているのがうるさく感じた。


「……拓はそんなことしないもん」

しばらく黙り込んだあと、今にも消えそうな弱々しい声でナツはそう言った。
< 7 / 19 >

この作品をシェア

pagetop