中学最後の夏休み《短》
「何でそんなことわかんの? 俺、もうナツより背だって高いし力だってナツより強いよ?」
俺は男でナツは女。
ナツにそうわからせるために言った台詞に、なぜか俺が恥ずかしくなってきた。
もしかしたらそんな当たり前なことが俺自身、今日まであまり理解できていなかったのかもしれない。
ナツは俺のドギマギとした気持ちになんて全く気付いていないようで、相変わらず下を向いたままだ。
自然と俺の視線はナツの服装へと向く。
黒のキャミソールみたいなワンピースに、銀色のヒール高めのサンダル。
今日のためにえらんだであろうその服装は、いつもより露出が多く大人っぽいものだった。