心ノ囁キ ーサヨナラのオトー
最終的に何もしゃべらないまま貴唯の家へとついた。
馴れた手つきで鍵をあけ、扉に手をかけた…
「──貴ぃ…」
乃栄がその名を呼ぼうとした時、一瞬乃栄のまわりの空気がガクンと揺れた。
「乃栄〜!!!」
乃栄の声を聞いて、部屋から飛び出してきた貴唯。
だが、次の瞬間乃栄の口から出た言葉は、《乃栄》ではなかった。
「貴唯…。」
何かを察したのだろう。
朔哉も貴唯も動きを止めた。
朔哉はただ単に驚いているだけだが、
貴唯は違う意味で顔を焦らせた。
何故なら、過去にも同じ感覚を、何度も体験したから。
「─…と…妬揮…。」
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