桃川中学校吹奏楽部
「次はお前の番だろ!」

「へっ?」

 
あたしは正直何かわからなかった。

「それ、吹いてみて。」

そういって楽器ケースを指差した。

 
「ああ・・クラのこと?」

 
「ク・・クラリネットっていうんだっけ?」

 
「吹いて欲しいぃ~?」

 
そうあたしが素直じゃないようにいうと

「ならいいぜ、別に吹かなくても!」

 
「嘘だって、吹いてあげないこともないけど・・でもさ、ここって民家多くない・・?」

 
「ま、いいだろ!」

「いや・・よくないって・・」

 
「仕方ないなあ・・ちょっとだけだよ?」

 
そうして私は楽器を組み立てた。


ものめずらしそうに綾瀬くんはじっと見る。


・・・ちょっと照れる。

 
~♪~♪

ちょっと小さめの音で吹いた。

「まあ、小さめだけどね。」

「おおー!すげえ!俺にも吹かせて!」

 
え・・?

ちょ・・


ちょっと待って・・?


俺にも吹かせて・・?


かっ・・間接キス??

 
あたしが黙っていたら

 
綾瀬くんも自分の言ったことの大きさに気づいたのか


だまりこんだ。

 
「あ・・ごめん・・やっぱいいわ。続けて」

「あ・・うん・・」


ちょっとだけ顔が赤くなるのがわかった

 
恥ずかしくて綾瀬くんのほうなんかすぐ見れなかったけど


綾瀬くんもちょっとだけ顔が赤い気がした。


「・・やべ・・。」


そう上を見上げて綾瀬くんが言う

「何?」

「俺ら・・にらまれてね?ほら」


そう上を見上げると

若い母親のような人が

赤ちゃんをかかえて

アパートの窓からこっちを見ていた。

「・・えへへ、やばいね」

そう笑うと


「すいませーん!もう吹きませんから!」

と綾瀬くんが大きな声でアパートに向かって叫んだ


そうするとその人はカーテンに隠れた。

 
「あははっ・・」


ふたりはお互い顔を見合わせて笑った
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