桃川中学校吹奏楽部
君は笑っていた

乃亜ちゃんも笑っていた。

 
乃亜ちゃんと倉本君は

 
彼氏彼女だった。

 
付き合っていた。

 
ふたりは

 
お互いの自転車を押しながら

 
笑顔で

 
門をくぐっていった。

 
涙腺が刺激される。

 
涙があふれてくるのがわかる。

 
私は急いだ。

 
涙をこらえながら


必死に自転車をこいだ。

 
倉本君と

乃亜ちゃん

 
ふたりならんで 笑顔で帰るところ


それだけしか

うかばなかった。

  
ああ あたし

 
失恋しちゃった。

 
家に帰って自分の部屋に入った瞬間

 
「あーあっ・・・」

 
涙がこぼれた。

 
テスト勉強どころじゃないよ

 
いっぱい泣いた。

 
涙の止め方を忘れるくらい泣いた。

 
頭に浮かぶのは

乃亜ちゃん

倉本君

 
ああ あたし

こんなにも倉本君のこと

だいすきだったんだなって

思った

親はまだ仕事だった。

 
絵梨に電話した。

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