【完】キス、kiss…キス!
玄関を確認すると靴はある。だからこの家の中にいるのは確かだろう。


五日間、お母さんから許可がおりず入れなかった二階の姫さんの部屋。


そこにいることを信じて階段を上り、一番手前のドアをノックした。


「姫さん、入るよ?」


そっとドアを開けると、部屋の隅っこに膝を抱えた姫さんの姿。


そんな姫さんを、俺は自分の胸の中に優しく包み込んだ。


「ゴメン、姫さんを傷付けたくはなかったのに、最低だよ」


「ナオちゃんは……悪くな……ひっ!」


姫さんは、膝を抱えてた手を俺の肩に持って行ってぎゅっと握った。


小さな爪がTシャツ越しに食い込むけど、そこから生まれる痛みより、心の方がもっと痛い。


「俺もスッゴク痛い。叩いた手も、心も。だけど誰が一番痛かったか、分かるよね?」


俺が出来るだけ優しく問うと、姫さんは小さく頷いた。


姫さんはちゃんと理解してる。自分が、自分の言葉がお母さんをどれだけ傷付けてしまったか。
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