【完】キス、kiss…キス!
《あいつ、傘も受け取らないんだよ。いくら屋根があったって、こんな雨じゃ降り込んで来るのに》


「やだ……嘘!なんでそこまでするの!?」


こんな私の為に、なんでナオちゃんはもっと自分が傷付くようなこと、するの?



《尚志、言ってたよ。この大雨は、哀れな、情けない俺に向けて神様が流した涙だって。だから俺は、それを防ぐことは許されないって、さ。クセェよな、バカだわあいつ》


「ナオちゃんの、バカ、バカァ……!」


そんなことしたら、風邪引いちゃうのに、ただでさえ食べ物も食べないで三日もいるのに。


「ちょっ……!姫ちゃん!?」


幸四郎が引き止めるのももう耳には届かない。私は、傘もささずに飛び出した。


走って走って、だけど世界はスローモーションに動いてる気がして、出来る限り早く、足を動かした。


そんな私にただ雨は、あざ笑うように降り注いだ。
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