【完】キス、kiss…キス!
「とくんとくんって音……姫さんの音。姫さんの香り」


夢うつつのような、ぼやぼやした声で呟くナオちゃんは、それでも弱々しく私の背中に腕を回した。


「うん……いるよ、私、もうナオちゃんから離れないから」


私が言うと、胸元が、雨とは違う温かい湿り気を帯びる。


「ゴメン……傷付けて、ホントにゴメン。姫さん、何度でも、姫さんの気が済むまで謝るし、非難も受ける。だから、俺の傍から離れないで…… 」


震えた弱々しい声で、何度も謝罪の言葉を囁くナオちゃんに、胸が締め付けられては熱くなる。


「もういいよ……私、ナオちゃんから離れたりしないよ」


私は頭を抱きしめる腕をぎゅうっと強め、その力で想いを伝える。


雨が振り込むのも忘れて、私はナオちゃんの涙を胸で受け止めた。
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