【完】キス、kiss…キス!
自分の部屋の近くに着くと、いつかのように人影があった。


あの時は不審者だと疑ったけど、今なら分かるよ。


小さくなりきれてない体操座りをしたその暗い人影は、紛れもなく、私が世界で一番大切に想ってる男の子。


「な……お、ちゃん!」


息が切れて喉がつっかえて、それでも無理矢理その大切な人の名前を呼ぶと、ピクンと震える細い肩。


私は、鉛のように重たくなった体でナオちゃんの目の前に行き、すとんとへたり込んだ。


「ナオちゃん」


そっと掌で頬を包むと、その頬はびっく りするくらい冷たい。


「ひ……めさん?今度は、ホンモノだぁ。温かいや」


弱々しく、それでもふにゃあと微笑んだナオちゃん。


私はそんなナオちゃんの顔を胸元に抱き寄せて、私はここにいるよ、夢じゃないよと伝える為に、力を込めた。
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