【完】キス、kiss…キス!
「……まあ、実はそんなのは幸四郎を丸め込む建前で、結婚する前にお前に再会したし、和製ローマの休日、みたいな?」


そう言ってふっと笑った秋斗は、最後まで、素直じゃない男だって、そう思うよ。


「なぁ姫子、お前はあの子犬といて幸せか?」


「うん。私はね、もうナオちゃん以外の人じゃダメなんだ」


私は胸を張ってそう答える。秋斗が願ってくれた幸せをちゃんと掴んでるんだってことを、態度で示したかったんだ。


すると、秋斗も意地悪そうな笑顔を向けて来た。


「お前、あんな良い物件なかなか転がってねぇんだから、意地でも逃がすなよ?オバチャン、必死こけよ、ふはは!」


「ふんっ!秋斗こそ、こんなとこ来てないで相手の人とラブラブしなさいよ!このクソオヤジ!」


大学時代からの付き合いなのに、やっと初めて秋斗と本音で話せた気がする。


きっと、付き合ってた時よりも素直にぶつかることが出来たし、私は秋斗という人間を好きになれたよ。
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