【完】キス、kiss…キス!
外は、お昼からの披露宴だった為もう薄暗い時間帯。


しばらく走っていると、駅の近くの神社の前に到着。


ここならタクシー降りても電車で帰れるから、大丈夫だ、なんて現実的なことを考えてしまう。


タクシー代を払おうとした私の手を止め、自分で全て払うナオちゃん。


お金が大丈夫なのか心配になってナオちゃんの方を見ると、それはもう『どや』と言わんばかりにふにゃあと笑みを向けられる。


「大丈夫!姫さんが仕事行ってた間、こっそりバイトしてたし」


幼く可愛い笑顔と裏腹に、頼れるナオちゃんにきゅうんと心臓が鷲掴みにされる。


タクシーを降りて、二人で神社の長い階段を登り、夏の余韻の残る風に包まれていく。


でも、その時間を楽しむ暇もなく、その、足腰に来てます。


ナオちゃんは、そんな私の歩幅に合わせてゆっくり進んでくれる。


「頑張って、もう少しで上に着くから」


桶川姫子、26歳。体の衰えを感じずにはいられない瞬間です。
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