はんぶんお月様〜僕と小さい君の7日間〜
外に出ると、
そこはピンク色に染まってた。

彼女のアパート前には
小学校がある。
その隣にも、小さな公園がある。
どこもかしこも、
辺り一面
桜が満開だ。

ああ、今年もいつの間にか
桜が咲いてる。
春が来たんだな。

僕にはいったいいつ、春がくるんだろうか・・・・。

まただ。
どうも、ネガティブでいかん。
明るくいこうぜ、さとし。

そうやって自分に言い聞かせるものの、その言葉はちっとも心に届かない。

きっと、それは、
この満開の桜のせいだ。

それが、
あまりにきれいで
ゴージャスで、
それを見る僕は、
あまりに貧相で、
情けなくて。


僕の縮こまった心がますます小さくなっていく。


早く、バイトに行こう。




足早に、
その光景から立ち去った。
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