シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
 無言なまま景色は水田の風景から住宅街へと変わっていく。二人は車に乗ってから一言も交わさずただ無言を貫いているだけだった。


 シェイクの方は普段と変わらない表情だが、その周囲を取り巻く空気はいつもよりもとがっている感じがした。表情には出さないが怒っているのが見て取れた。
 

車は中央区に向かっている。宿泊場所を探す場合は近場よりも中央区の方が沢山あるということだ。


中央区は非常に狭く入り組んだ地形だが、シェイクの運転する車はスムーズに目的の場所に向かって走り続ける。細い路地や交通量の多い交差点を難なく通過する。しかし、そんな彼でも僅かながら走り方が荒いということにルシアは気づいていたが口には出さなかった。


これはあくまでもシェイク自身の問題だと思ったからだ。
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