シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
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 ホテルにチェックイン後、二人は荷物を車から降ろし部屋に運ぶ。その間も二人は特に言葉を交わさなかった。


 荷物の移動が完了して二人は一息つくが、二人の距離はいつも以上の距離がある。そしてお互いに目も合わせず時間が経過していく。ツインベッドの部屋がいつも以上に広く見えた。


 この雰囲気に耐えられなくなったのは、シェイクの方だった。ベッドで座っていたシェイクが立ち上がりコーヒーを作る。


「ルシアも飲むか?」


 ルシアはシェイクに背を向け返事をせずに頷くだけだった。シェイクがコーヒーを備え付けのカップに注ぐ音がやけに大きく聞こえた。


「ルシア、コーヒーここに置いておくよ」


 シェイクは近くのテーブルにコーヒーを置く。隣にスティックの砂糖とミルクが二つずつ。彼女はそれでなくてはコーヒーが飲めない。旅を始めてからずっとそうだった。シェイクはブラックのまま飲むのがいつもだ。備え付けのソファーに腰掛けゆっくり飲む。


 カップから半分ほどコーヒーがなくなった状態で一度カップを置く。どうしてもルシアが気になってしまったからだ。欲しいと言っておきならまだ一口も飲んでいない。それどころか砂糖もミルクも開けてすらいない。


「どうしたんだ?冷めるぞ?」


 シェイクの言葉にも耳を傾けようとしない。シェイクは少し心配そうにルシアの近くに寄る。


「もしかして、体調が悪いのか?あんなもんを見たら――」


「シェイク。話を逸らさないで」


 シェイクは驚いた。いつもは怒っていても何かしらの感情を伴って起こっていたが、今まで無感情に怒る彼女をシェイクは見た時が無かった。


「何を逸らすんだ?何も話をしていないだろ?」


「なんでシェイクはお父さんたちと会おうとしないの?」


 シェイクは、それは。と言って口ごもる。


「会うのが怖いんでしょ?『自分のせいで両親にも彼女にも辛い目にあわせてしまった』からでしょ?」

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