シェイクとルシア~黒き銃を持つ二人~
「着いたわよ」


 館長の一言と車の急ブレーキからくる慣性がルシアを急に現実に引き戻す。身を守るためのシートベルトが危うく凶器になりかけた。


 車から降りると目の前にはやはり木造の平屋の住宅があった。大きさも日中に見たそれとほぼ同じ大きさ。どうやらこの国ではこの大きさが当たり前らしい。


「中央区に住んでいる一部の特権階級以外の大多数は他の地区でこの大きさの家に住んでいるの。住宅はこの国では国民への支給物なの」


「結構いい国ですね。ほかの国ではここまで親切な国はなかったですよ」


 館長が玄関のカギを開けてルシアを家へ入れる。笑顔で部屋に入る彼女を見て館長は、


「やっぱり似ている……」


 とルシアに気づからないように呟いた。

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