「焼きそばパンでも食えば。実は今、監禁されてる。今日で、さよならかもしれない」

だいぶ要点を絞ったメールを、彼氏に送ってみた。







着信。意外と反応が早い。もう少しかかるかと思った。電話に出る。

「おい!まじ?ちょっ…何?え、これ本当?」

「残念ながら本当みたい」

「 」

絶句している。ごめんね。オブラートに包みにくい内容だから、ストレートに言ってしまった。狐につままれたような顔をして立ち尽くす姿が、見えるようだ。

「…ど、どこにいるんだ?え…誰に?俺、助けにいくよ!」

「場所も犯人もわかんないの」

「そんな!今どこ?」

「部屋。だんだん狭くなってくる」

「潰されたらペチャンコじゃん!大変だっ!警察!」

彼氏はアホだけど、私を信じてくれる。部屋が狭まることを、素直に受け入れてくれた。あの警察官より、彼氏の方がずっと頼りになる。彼氏なら、私を助け出せるかもしれない。

「あのさ、私…」

「今行く!待ってろ!」

電話は、切れた。

ただ飛び出して、どこに行くつもりだよ。やっぱりアホだ。
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