十二時四十分。お腹がすいた。部屋は明らかに狭くなっている。2メートル四方程度だろうか?うちのお風呂場のサイズに近い。

この状況は、誘拐でなければ何だろう。何か未知のエネルギーで、次元の違う空間に飛ばされたとか。深層心理が具現化したとか。宇宙人の実験に使われているとか…。やれやれ。くだらない。

私はSFが嫌いだ。夢に溢れているところが嫌いだ。しかし、SF的思考を持ち出さねば、この状況を議論できない。不愉快。納得のゆく説明を、得たいだけなのに。

十二時五十分。私は今、何をすべきなのか?遺書を書くべきなのか。欲望としては、トイレに行きたい。水が飲みたい。寿司が食いたい。イケメンに抱かれたい。

十三時。計算通りなら、後十二時間で部屋と私の人生が消える。突然眼前に示された、タイムリミット。壁という無言の圧力を前にして、私の思考は落ち着かない。

冷静なようで、混乱している。そんな自分を、さらに客観視する自分に気付く。ああ、面倒なことになった。
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