LOVE COCKTAIL
黒い空からは雨が降り続ける。強くもなく、弱くもなく一定の量で降りつづけている。
asia99の入り口に置かれたアレカヤシにも雨は容赦なく降り注ぐ。
南国のバーを連想させるべく、ブラックライトで照らされたアレカヤシ。
まるでリズムを刻むように雨で揺れている。
その横には酒樽が置かれており、大き目のランタンが樽上に乗っている。
そのランタンはスイングドアを暖かく照らし、人々を店内へ誘う。

店へ入るとコロナビールなどの、酒のネオンが彩り競っている。シングルフィンのサーフボードもレンガ造りの壁に寄りかかる。
入り口側には2名テーブルが2つづつ、左右に置かれている。テーブルの上にあるキャンドルが店内の色合いを明るくしたり、暗くしたり、柔らかな光を照らしている。
テーブル席を抜けると正面にバーカウンターがあり、8名ほど並んで座れる。全体的にウッド調ベースであり、KENの好きなハワイアンテイストで店内を統一している。

「・・・んちゃん、KENちゃん、大丈夫??」
ハッと気づくとTAKEが心配そうに、細い目を必死に大きくしてこちらえを見ている。
「ああ、すみません、ちょっと疲れてるのかな。」と、ベタな答えをしてる自分に少し恥じらいながら、KENはあわてて手に持っているグラスを拭きあげた。

ちきしょう、集中できねえ。
これも全てあの女のせいだ。

KENはそう思いながらも、その思いをかき消すようにニッコリ笑って、TAKEに話の続きを促した。


あの女のせいだ・・・。

あの女を好きだから、辛いんだ・・・。

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