フェアリーテイル~キミとオレとの約束~
「誰。」
真希は開口一番にそう言った。
真希の母親だというその女性は、幽霊ばりに白い顔に悲しみの表情を浮かべる。
おいおいおい…
昼メロか…?昼メロの修羅場というやつか?
ってんなことはどうでもいいっての。
「マキ、君のママかい?」
「あたしの母は死んだ。9年前、あたしを捨てた時に死んだ。」
「ごめんなさい。でも、あなたが嫌いだった訳じゃない…」
「誰かと間違えてませんか。あたしの母様は死んだんです。あなたはあたしの母ではありません。」
「真希っ…本当にごめんなさい…」
真希は女性を見ようともせずにボケッと立ってるだけのオレの腕をつかんで外に出た。
ゾッとするような無表情。
まるで…あの鉄仮面と呼ばれたときの表情だ。
でも…
「真希、もう、大丈夫だから。」
返事はなし。でも歩調は次第にゆっくりとなり、そして止まった。
「もう、我慢しなくてもいい。」
やっぱり返事なし。
「もう、泣いてもいいよ。」
無表情な真希は家をでてからずっと手を震わせていたから。
よく、頑張ったね。
もう、泣いてもいいよ。
だけど真希は、オレを振り返らずに全力疾走で走り出した。