ウソ★スキ
──だけど。


バスに一歩足を踏み入れた時からずっと、何か、いつもと違う雰囲気を感じていた。

何だろう?

バスの中をぐるっと見回すと、そこにはほぼ毎日見かけるいつもの乗客の顔が並んでいる。

中には小声で話をする人もいるけれど、

その多くは窓の外を見たり、じっと手元の携帯電話や本に視線を落として、静かにバスが目的地に到着するのを待っていて。

それは、いつもと変わらない風景のはずだった。


──だけど、それでも。
今日は“何か”が違った。

言葉ではうまく言えないんだけど、あたしたちがバスに乗った途端、車内の空気がピリッと張り詰めた気がして。

何だろう、この息苦しさ。


気のせいなのかも知れない。

だけど乗客の視線がやたらと気になった。


あたしは、隣に立っているソラのことが気になって、目線だけをソラに向けて様子を伺った。

ソラはじっと目をつぶってバスに揺られていたけれど、見ていると時折、その頬がピクリと引きつっているのが分かる。


きっと、ソラも同じことを感じているに違いない……。



嫌な胸騒ぎがして、
あたしの心拍数は徐々に上がっていった。


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