ウソ★スキ
「苑も心配してるよ。バスの中でも双子の噂を耳にしたって」

「……」

「やっぱり、キラちゃんとはうまくいってないの?」

「……キラ、あの旅行以来部屋に閉じこもったままで。学校もずっと休んでます」

「やっぱりそうか」

先輩はため息を吐くと、

「美夕ちゃんはどう? 大丈夫?」

歩きながら、顔だけをあたしの方に向けた。


「キラちゃんのこともあるけど、やっぱり俺は美夕ちゃんが一番心配だから」



もう……。

先輩ってば、反則だよ……。



「大丈夫」

そう言って先輩の顔を見上げた途端、ここ数日ずっと張り詰めていた緊張の糸がぷちんと切れた。

「……じゃ、ないかも……」


あんな別れ方をしたって言うのに、温かい眼差しであたしを見つめてくれている先輩の優しい言葉に涙が零れ落ちる。

「結構、しんどいです……」


先輩は、そんなあたしの頭にぽんと大きな手をのせて、

「うん。美夕ちゃん、辛いよね」


そう言ってくれた。


あぁ、もう。

先輩はどうしてこんなに、温かいんだろう……。





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