【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
「教えて。何が秀政の幸せなの?」


秀政はしばらく言い淀んでいた。


けれどしばらくして、

「迦陵が側にいること」

と答えた。


「なら、わたしは秀政といる。一緒に尾張に行くよ」


「でもお前、子供たちのことは?」


「尼さまが、尾張にも身寄りのない子はいるだろって。京の子供たちは尼さまたちに任せろって」


「そうか……なら私も出来る限り手伝うよ」


わたしは秀政の顔を見上げた。


そんなわたしに秀政は優しく微笑みながら、

「皆が迦陵のように幸せになれたらいいな」

と囁いた。


「うん、そうだね」


少しでも、子供たちが自分の生に光を見出だせるように手助けできるなら。


それこそ、そこに、わたしが新たな生を与えられた意味があると思う。


彼らの苦しみが分かるわたしにしかできないことがあるだろう。


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