その日、僕は神になった
『神、参りました』
 レイチェルの声が脳内に響き、俺は頭の中で部屋に入るように命じた。
「座ってくれ」
 部屋に足を踏み入れた彼女は、指示に従い腰を下ろした。
「楓真が死んだ」
 そうでしたか、彼女はいつもの抑揚のなに声で答えた。
「驚かないんだな」
「人間はいつか死ぬ運命です。それが早いか遅いかの違いだけです」
「そうか、その通りだな。なぁレイチェル、死んだ人間はどこに行くんだい?」
「無へと帰ります」
「無か…、その存在自体がなくなるってことだ?」
「その通りです」
「天国や地獄は?」
「人間が勝手に造り出した世界です。実際にそのような世界は存在いたしません」
「死んだ人間が天界の住人へとなることは?」
「ありません。天界は神聖な地です。人間のような野蛮な生物を入れる訳がありません」
「例外は?」
 ありません、そう断言する彼女に対し、一つ溜息を吐いて質問内容を変えた。
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