その日、僕は神になった
「君は先代の意向に賛同していた訳だ。あくまでも中性的な立場を保ちつつ、その上で俺を今日まで誘導してきた…。
だが待ってくれ、先代は人間界に永久追放された訳だろ?ならばこの計画は、君の単独犯ではないのか?」
 俺は頭がこんがらがってきた。予想だにしなかった展開に、オーバーヒート寸前だった。
「確かに先代は人間界に永久追放となりました。ですが先代は、自らがそのような窮地に立たされることを察していました。だからこそ、そうなる前に手を打って置いたのです」
 俺は彼女を促すように黙っていた。一言も聞き逃してはいけない、その途端に全てが理解不能になりそうだった。
「先代は時期神にスバルが選ばれると予期していました。ですから、彼に時限的な細工を施して置いたのです。スバルが第六代目東地区神に任命されると共に発動する細工を…」
「じゃもし、カムイが選ばれていれば、その時点でこの計画は失敗に終わっていた?」
 彼女は小さく頷いた。その表情は、そんなことは万が一にも起こらなかったという自信に満ちていた。
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