その日、僕は神になった
「神、私が以前お話しした、先代の神が辞職に追いやられた理由をお覚えでしょうか?」
 俺は再度頷いた。まさか…、そう思い俺は彼女の瞳を見た。いや、睨みつけたと言った方が正しいだろう。
「ご察しの通りです…」
 俺の頭の中は再び高速回転を始めた。
「君の共犯者というのは、…先代の神なのか。そしてその目的は、神々の鉄鎚の執行の阻止…」
 彼女は、俺の目を真っ直ぐに見据えて頷いた。
「なぜそんなことを!君だって言ってたじゃないか、先代のやろうとしていたことは、無謀そのものだって!」
 そう吐き捨てた後に思い出した。あの時いくら彼女に神々の鉄鎚の執行に関しての賛否を唱えても、彼女はその意見を最後まで口にしなかったことを。
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