その日、僕は神になった
 四方を真っ白な壁に囲まれた、正方形の部屋。およそ六畳程だろう。その中心には同じく真っ白なソファーが一脚置かれているだけだ。そのことがやけにこの部屋を広く感じさせていた。
 この部屋は何か特別な力で囲まれているのだろう。俺は頭の中からレイチェルに話しかけることも、暇だからといって本を出したり、音楽をかけることも許されなかった。それが許されていたとしても、彼女にかける言葉など見つかる訳もないし、本も音楽も右から左に筒抜けるだけだっただろうが。
 神としての、天界の住人としての力を奪われてしまえば、神もまたただの人間に変わりはない。無力なのだ…。
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