その日、僕は神になった
 それから俺は三人の神々、そしてカムイとのやり取りを思い出した。そんなことをしても無駄だとは分かっていた。あの時に戻りやり直し、今を変えることも出来なければ、この経験を活かす次もないのだから。
 次がない…、そう俺には次などないのだ。不治の病を宣告された病人や、最高裁で死刑を求刑された被告はこんな思いなのだろうか?何の救いもなく、ただその終わりを待つ。いや、少し違うだろうな。なぜならば俺は、そこに恐怖を感じていないからだ。
 一度死と言うものを体験しているからだろうか?いや、それも違うか?確かに俺の元の体は滅んだ。だが俺の精神は今もスバルという男の中で生き続けている。俺は肉体的には死んだ。その瞬間を自らの目で確かめた。だが未だに俺の精神はここで生きている…。本当の死とは、肉体と精神、その両方に訪れて初めて成り立つのだろう。
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