宝石箱〜私達の宝物〜《短》
オイチャンはなぜか私達が何か悩みを抱えているときに、優しく手を差し伸べてくれた。
それはおせっかいな優しさではなく。
少し離れた位置から見守ってくれるような、心地の良いものだった。
そんな心地の良い優しさに甘えた私達。
放課後、皆で授業を抜け出した午後、明け方まで遊んでいた夏休み……学生時代の大半をこの居酒屋で過ごさせてもらった。
もちろん子供だった私達が居酒屋に遊びに行く事は学校で問題視され、色々言われたこともある。
だけどあの日。
泣いてたユッケと困っていた私達を、見てみぬふりをして通り過ぎていく人ばかりだった中で助けてくれたオイチャン。
そんな人が悪い人な訳がない。
そう言い張った私達は先生達の言うことなどきかず、オイチャンの店に通い続けた。