W・ブラッティⅡ
 カトリカがそう言って、テーブルに置かれた真っ白なティーカップを持ち上げゆっくり口に注ぐ。少し熱かったのか一口入れた後一度全て飲んでから、息を吹きかけ冷まそうとする。それを見たエクレシアが微笑む。


「カトリカの猫舌はまだ治ってなかったの?」


 カトリカは何か言いたそうな顔をエクレシアに向け、頬を膨らませて怒りを表す。


「私の猫舌は一生物ですの。ですからそう邪険に扱わないで下さる?」


 エクレシアは再び微笑み、そうね。と愉快そうに相槌を打った。エクレシアの笑顔はまるで天使の微笑みのように明るく清らかであった。しかし、すぐにその笑顔から一変する。


「まぁ、お兄様たちには悪いですけど鉄斎お爺様の遺産は私たち双子が頂きますのでそのつもりで行きましょう。カトリカ」


「ええ。もちろんそのつもりですわよ。エクレシアお姉さま」


 二人はティーカップを乾杯のようにカチンと合わせる。そして各々のタイミングで紅茶に口をつけた。
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