W・ブラッティⅡ

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 奇術団リーダーの佐竹宏史は他のメンバーと最後のフィナーレのマジックを何にするか考えていた。今回の公演は今までと違い日本全国を回って公演する。そのため今後の人気を取るために最後に大きいマジックをしたいというのが佐竹の考えだった。


「それならば、お前の得意なアレを持ってくればいいじゃないか。アレなら必ず成功するしそれに観客の度肝を奪える」


 サブリーダーの大嶺が提案する。他のメンバーも頷いて同意している。


「それに観客を両方使えるし、俺たちの趣旨にぴったりはまっている。絶対最後に回してやるべきだ」


「そうか……分かった。みんながそう言うならアレを最後のマジックにしよう」


 蜃気楼奇術団は元々大学のマジック研究会が前身だった。


 佐竹は一年生で唯一のマジック研究会の部員で、勧誘するときに先輩とこのマジックを


やったのを機に同級生の大嶺のほか一場、渡部、有森が入部してきた。
先輩達が卒業してからはマジック研究会を今の蜃気楼奇術団と改名し、地元の北海道を中心にマジックを行ってきた。
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