小悪魔男子




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ずっと昔から ”一度でいいから告白されてみたい”って思っていた。




ドラマや漫画で見るような、素敵な告白を。



けれど、想像するのは自分も相手を好きだった場合の事ばかりで、断るにしても全然知らない人が告白してきた時の事を考えていた。



『ゴメンナサイ。あたし、あなたの事全然知らないの』



だけど、人生で初めての告白は、ずっと一緒に居て


性格も 短所も 好みも 全部解り合っている男の子だったんだ。




彼がいい人だと知っているから  知らない人を振るより何倍も苦しい。



ごめんね   ごめんね。



謝ることしかできないんだ。



彼を傷つけたという罪悪感から涙が止まらない。





”誰かを振る”




それは誰かを傷つけることなんだと気付き 苦しくなる。



そして


それとはまた違う感情によって、口から自然に出た言葉――――



「ありがとう…」



もう姿が見えないのに言いたくなったんだ。





何故だか温かい気持ちになれたから…。



    これがあたしの




苦しさと 嬉しさが入り混じった




   初めての 経験。












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