小悪魔男子
「…大丈夫。こうなる事は解ってたんだから。
言ったろ?”大和が好きなんじゃないか”って。
だから気にしなくていいんだよ。頭、上げてくれないか?」
優しすぎるよ…
罵倒された方がまだ楽だ。
両手で顔を覆いながら静かに顔を上げる。
「…泣きやんで?お前が泣いてどうするんだ?」
涙で前がよく見えなかった。
けど、聞こえた声は少し震えていた気がする。
「お前の事すぐに忘れろ、なんて言うなよ?
これでも5年間も純愛してきたんだ。思い出にできるまで…いつになるか分からないけど
心の中で思い続けるくらい許してくれるだろ?」
「…ッ…」
声が出ないあたしは、何度も頷くので精いっぱいだったんだ。
「ありがとう。
…じゃあ俺、先行くわ。…これからもずっと友達でいてくれよ?
あと…
高校は偶然じゃなくて 俺がお前を追いかけて来たんだ。
ホント…青臭いっつーか、馬鹿みたいだよな…」
そう言い残して和樹は行ってしまった。
「ほ…とうに、ゴメ…なさ…!!」
その後ろ姿を見て あたしはまた泣いた。